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日 時:平成16年6月21日
(第108回総会時) |
講 師:立命館大学情報理工学部 客員教授 中村収三氏
「工学倫理」という新しい概念について、先進国であるアメリカの例を紹介しながら講演された。その概要は次のとおり。
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テーマ:工学倫理を考える |
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近年、企業倫理あるいは技術者倫理が問われる事故や事件が頻発している。技術者というのは社会に対して特別の責任を負っている職業であるということを、技術者たちは認識する必要がある。
「工学倫理」とは、アメリカ語のEngineering Ethics を直訳した用語で、狭義の「技術者倫理」を表す言葉として使われる。 あらゆる近代技術は、危険なものを安全に使いこなす智恵だと言いかえてもよい。それゆえ、技術者には専門的な能力に加え、「高い倫理性」が要求される。このことが他の専門職の場合と異なる点である。
「技術倫理」という言葉があるが、これは特定の技術は是か非かなど、技術と社会のかかわりを扱うもので、技術者もこれに関心を持ち、主体的に考えなければならないことは言うまでもないが、これは社会が技術をどう扱うかの問題であって、技術者個人が扱う問題ではない。(技術倫理と技術者倫理の境目をあいまいにすると混乱が生じる。)
技術者に求められる素養は、
- 専門とする技術についての知識・能力
- その技術が社会に及ぼす影響と、その影響を制御する技術についての専門的な知識
- 関連する法規についての知識
- 社会の議論についての理解
の4点で、これらすべてを備えた人を“専門技術者”という。必要な素養を欠く者が専門的職務を行うのは、はじめから工学倫理に反する。
(ここで、工学倫理がよりよく理解できる事例としてビデオを見る。ビデオは2000年3月にNHKから放映されたもので、1986年に起こったスペースシャトルChallengerの事故について、危険性を察知し打ち上げの中止を進言した技術者(接合部の設計を担当)と会社、NASAとの関係を追ったドキュメンタリーである)
技術者は、元来、倫理レベルの高い職業と見なされてきた。特に、日本の技術者たちは、高い信頼と尊敬を勝ちとってきた。
技術者は公衆に対し、専門職としての責任を負っている。全米専門技術者協会(National Society of Professional Engineers)の倫理規定では、基本的規範の第1に「公衆の安全、健康、福祉を最優先しなくてはならない」と書かれている。
日本の技術者が置かれている環境は欧米とはずいぶん異なっているが、遅れているとは思わない。
したがって、工学倫理への取り組みも異なってしかるべきである。
最後に、若い技術者や工学生に伝える言葉
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実践的技術者倫理
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−組織人の心得−
・あらゆる言動は業務(給料)の一部とこころえよ
・報告・連絡・相談“ほうれんそう”を忘れるな
・意見やアイデアの表明は積極的に
−備えあれば憂いなし−
・日頃からまわりの人と何でも話し合う
・グループ活動の場があれば、日頃から積極的に参加する
・日頃から組織内に尊敬できる相談相手をつくっておく
・日頃から相談すべき部署を知っておく
−仕事の上で倫理に関わる問題に出会ったら−
・ともかく、まわりの人たちと話し合う
・グループ活動の場があれば、そこへ持ち出す
・尊敬できる人に相談する
・担当部署に相談する
・自分や関係者の言動を正確に記録する
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